ニコニコはなぜ繁栄し、衰退したのか
2012年5月、ニコニコ動画は誕生した。
再生中にコメントが流れる仕組みは視聴者の心を釘付けにし、インターネット業界で一世を風靡した。
今回はそんなニコニコ動画の繁栄と衰退を探ってみよう。
ニコニコを発展させた要因
そもそもニコニコは動画投稿サイトとして優れていたわけではない。
Youtubeの方が昔からあるし、技術的には昔から完全敗北している。
ではなぜニコニコは発展したのだろうか?
ゲーム実況/生主
おそらく最も大きな要因である。
コメントが流れる機能により、ニコニコの実況動画はYoutubeよりも友達と一緒に遊んでいる感覚を演出できた。
これがユーザーにウケ、ゲーム実況という文化がニコニコで生まれた。同時に、リアルタイムでユーザーとコミュニケーションができる生放送も流行った。
ボカロ/歌い手
ボカロはVOCALOIDという機械音声に歌わせる曲の総称である。そして一般人でもボカロを作成できるソフトが販売された。
これは歌を歌えない人でも作曲ができるので、非常に革命的だった。かつてボカロの作曲者は「○○P」と呼ばれ、ryoやオワタPなど、有名なPは今でも人気を博している。
そしてボカロをあえて肉声で歌い、動画をあげ始めたのが歌い手である。
一部は彼らをインターネットカラオケマンと蔑称していたが、機械音声が苦手な人でもボカロが楽しめるようになり、瞬く間にその人気は広がった。
MAD
ニコニコはYoutubeと比べ、著作権に厳しくなかった。
それにより、アニメやテレビの一部を切り取ってネタ動画を作るMADが流行った。その作品には癖の強いものが多く、熱狂信者も多く生まれた。
そして完成度も高く、中には数千万回再生されるMADも出てくるほどだった。
なぜ衰退したのか?
発展要因の衰退
ニコニコを発展させた要因を上であげたが、実は現在、全て衰退してしまった。その理由を見てみよう。
ゲーム実況/生主
ゲーム実況や生放送において、当時はYoutubeより視聴者との距離が近いニコニコが選ばれた。
しかし、どう考えてもYoutubeよりも質が低い。
そして公式生放送を増やしすぎたため、一般人の放送や動画をあまり人が見なくなった。
そして彼らは、金も稼げて機能も充実しているYoutubeに移行していった。
ボカロ/歌い手
まずボカロだが、既に機械音声は飽きられた。やはり肉声と比較すると、ワンパターンになりがちである。最初は物珍しさもありみんな熱中したが、今や過去の遺産という印象だ。
そして人気を得た歌い手は、ニコニコよりもYoutubeの方が稼げると知り、皆消えていった…
MAD
すまだ完全に衰えたわけではないが、かつての勢いはもうない。
そもそも素材が有限なので、次第に飽きられるのは仕方ない。そしてMADでは新しい素材が受け付けられにくい。いまだに遊戯王やドラゴンボールがよく使われている。
相当有名なアニメ以外ではなかなか新規素材で作られないのである。
サービスとしてのレベルの低さ
Youtubeと比べると、ニコニコ動画のレベルの低さは一目瞭然である。
- 画質が悪い
- 無料会員はシークバーが動かせない
- 投稿者に収益が発生しない
- 投稿動画サイズは100MBまで
パッとあげただけでもこれだけある。そもそもニコニコの有料会員は「より良くなる」のではなく、「最低限使えるようになる」である。マイナスが0になるだけでは課金する価値がない。
それなら最初から0の価値があるYoutubeへ行くだろう。
動画投稿者の軽視
ニコニコは動画投稿者に優しくない。
まず、投稿者に収益が発生しない。動画に広告はつくが、収益はすべて運営側である。
そしてサービス利用者がある程度増えた後、ニコニコは公式生放送を必要以上に増やした。
これにより一般人の生放送/動画には、あまり視聴者が寄り付かなくなった。
そして投稿者はやる気を失い減っていった。投稿者のいない動画投稿サービスなど、衰退するのも当然である。
まとめ
ニコニコの発展と衰退を追ってみたが、いかがだっただろうか。
機能としてはYotubeの方が優れているため、今考えるとニコニコが爆発的な人気を誇っていたのが不思議なくらいである。
今のところはニコニコが息を吹き返す素ぶりは全くない。要の有料会員も徐々に減ってきているため、サービス終了の日も近いかもしれない。
だがかつてのニコニコ一強時代を知っている者なら、もう一度あの時代へ戻りたいと思う人も多いだろう。
ネット自体が一般化しすぎたのもあるだろうが、あのアンダーグラウンドな感じはYoutubeでは味わえない。
動画業界はこれからだ。ニコニコにはこの先生きのこる方法を、是非とも考えてもらいたいものである。